[目次]• 肛門がかゆくなる「肛門掻痒(そうよう)症」とは 肛門がかゆい状態を総称して「肛門掻痒(そうよう)症」と言います。 肛門掻痒症では、入浴後や就寝中など、体が温まっているときに、かゆみが強くなる傾向があります。 しかし、かゆいからと言って掻きむしると、皮膚がただれたり、ジクジクしたりして、余計にかゆみがひどくなるので注意しましょう。 また、市販の軟膏やスプレーなどで対処しようとする人もいますが、間違った対処をすると、かえって症状が悪化する可能性があります。 肛門のかゆみを改善するには、まず、どのような原因が考えらえるのかをきちんと把握することが大切です。 肛門がかゆい!肛門掻痒症の原因とは? 肛門掻痒症の主な原因には、次のものがあります。 肛門の周囲や内部の汚れ 肛門のかゆみの原因で、もっとも多いのは、排便後の拭き残しや、便秘で肛門の中や直腸に便が残っているなど、便による刺激です。 ただし、この場合のかゆみは1~2日で自然に消失します。 拭きすぎ・洗いすぎ 便の付着は肛門のかゆみの原因になりますが、反対に清潔を意識しすぎて、トイレットペーパーでゴシゴシ拭いたり、温水洗浄便座で洗いすぎたり、入浴時に石けんで強く洗ったりすることも、摩擦による刺激でかゆみを引き起こします。 近年、肛門部のかゆみで医療機関を受診される方の大半はこの拭きすぎないしは、洗いすぎが原因でかゆみを引き起こしています。 イボ痔(痔核) イボ痔(痔核)は、肛門周辺の血管がうっ血し、一部が膨れ上がってイボのようになった状態のことです。 主な症状は、排便時に出血したり、イボ痔が肛門から脱出したりすることですが、血液や分泌物で肛門の周りがベタつくと、かゆみが生じることがあります。 切れ痔(裂肛) 切れ痔(裂肛)は、便秘で硬い便をいきんで出したり、下痢の便が勢いよく通過したりすることで、肛門上皮が裂けた状態のことを言います。 多くは、痛みや出血をともないますが、切れ痔になったばかりの頃や治りかけのときに、かゆみを感じる人もいるようです。 あな痔(痔瘻) あな痔は、肛門の横に膿が出る穴が開いた状態のことで、下痢などによって肛門の組織に細菌が入り込むことで生じます。 患部の激しい痛み、腫れ、発熱などが主な症状ですが、膿で下着が汚れると、肛門周辺がかぶれてかゆくなることがあります。 肛門掻痒症のほかに肛門のかゆみの原因となる病気 肛門掻痒症と同じく肛門の周辺がかゆくなるため、以下の病気は肛門掻痒症と間違えられやすくなっています。 接触性皮膚炎(かぶれ) 接触性皮膚炎は、いわゆる「かぶれ」のことで、衣類や薬品、洗剤など、触れたものによる刺激やアレルギー反応によって、皮膚に赤みや湿疹ができ、かゆみが生じることを言います。 肛門の場合は、下着、生理用品、おむつ、石けん、肛門用のスプレー・軟膏・クリーム、消毒薬、トイレットペーパーの色素などによって接触性皮膚炎が起こることがあります。 何かかゆみの原因として疑われるものがあった場合には、使用を控えるようにしましょう。 ぎょう虫症 近年は減少傾向にありますが、ぎょう虫症は、ぎょう虫による寄生虫症で、子供に多く見られます。 この寄生虫は、口から体内に入って大腸や直腸に棲みつきますが、夜になると肛門から這い出して、肛門周辺に卵を産みつけるので、強いかゆみを引き起こします。 尖圭コンジローマ ヒトパピローマウイルスによる感染症で、主に性行為によって感染します。 性器や肛門の周辺に、ピンク色または茶色をしたトサカ状のイボができるのが特徴です。 イボができても自覚症状がないケースが多いようですが、かゆみや痛みを感じることがあります。 カンジダ症 カンジダという真菌(カビ)による感染症です。 カンジダは、人間の皮膚にもともと存在する常在菌ですが、抵抗力が弱っていると、異常に繁殖して肛門などに感染し、かゆみをもたらすことがあります。 原因が見当たらないケースも 肛門掻痒症には、これと言った原因がない神経性・精神性のものもあります。
次のこの記事の目次• 患者さんが肛門の「できもの」と表現した病気 1.いぼじ(痔核・脱肛) これは正真正銘、痔です(笑) 外から触って分かるものを患者さんは指していることが多く、ほとんどが 外痔核でした。 外痔核は痛みも出血も 何も症状がないことが多く、入浴時に何気なく肛門を触ってみて初めて気付いたということが多いです。 別に気にならなければ 手術の必要はありません。 また、 脱肛と言って、 内痔核が大きくなり脱出するようになった状態の方もおられました。 これを手術せずに放置しても便が出しにくいとか、肛門の機能には影響がありませんが、痔核が出来ているということは、その背景に必ずと言っていいほど「便秘」があります。 だから 便通を直すことをお勧めします。 そうすれば手術をせずにずっと付き合って行けることも多いです。 2.皮垂 これはただ単なる 皮膚のたるみです。 排便時に腫れることもないですし 無症状です。 ですが、自然に発生して出来た「たるみ」ではないため、その原因となった便通を直す必要があります。 この「できもの」の奥に切れ痔(裂肛)があるのです。 切れ痔がある時は赤くなったり硬く腫れたりしているのですが、切れ痔が治ったら皮膚のたるみのようになることが多いです。 切れ痔が痛いのに、この見張りイボを触ると痛みを感じるから、「できものが痛い」と表現されることが多いです。 当然、切れ痔を治さなければ、どんどん腫れて大きくなりますし、痛みも続きます。 切れ痔を治すには、 切れ痔の原因となった便通を直さなければなりません。 いぼ痔だと勘違いされている患者さんも本当に多い「見張りイボ」。 これは 性病に分類されている病気で、人にうつりますから注意が必要です。 急に腫れて結構な痛みがあることが多いですが、なぜか全く痛みがない患者さんもいます。 何もしなくても、放置しても治ります(笑) もちろん 手術は必要ないです。 膿が溜まるので半端ないくらい痛いことが多いですし、どちらかというと「急に腫れた」と表現されます。 ただ、少数ですが、じわじわとゆっくり膿が溜まった場合、あまり痛みなどの自覚症状がなく、ただの 「しこり」として自覚されて受診に至るケースがあります。 そのような場合、下痢ではなく便秘の人がほとんどで女性に多いです。 だから患者さん本人も痔瘻という意識はゼロでした(苦笑)。 女性の痔瘻は典型例からはずれるケースがありますね。 便秘でも痔瘻になることがあるのだという経験は私たちも衝撃でしたが、最近では、毎日出ててもスッキリ出ずに便が肛門の中の出口付近に残って、それが原因で痔瘻になっているケースまで経験しています。 7.皮膚疾患 ・ニキビ(尋常性ざ瘡)・毛嚢炎・粉瘤 洗い過ぎによって 皮脂膜が脱落し、皮膚のバリアー機能が低下すると、ちょっとしたことで感染を起こしやすくなります。 これらのものが肛門周囲に出来ている人は間違いなく温水便座愛用者で、 温水便座症候群も伴っています。 粉瘤も化膿していなければ皮膚の下にあるコリッとした「できもの」として自覚され、触ると分かる程度なのですが、これが化膿するとむっちゃ痛いことが多いですね。 つぶれてちょっと 臭いのある粥状の内容物が出てくることもありますし、膿のような内容物が出てくると痔瘻と間違えられやすいです。 ・稗粒腫(ひりゅうしゅ・はいりゅうしゅ) 稗粒腫とは 表皮にできる角質嚢で、上皮がはがれたり、創傷治癒後に汗管が閉塞して生じる とされています。 過剰衛生により上皮がはがれることにより生じたと思われます。 実際に、肛門周囲に稗粒腫が多発している人は 温水便座で過剰に洗浄しています。 水圧を強くして肛門を直撃して洗うと皮脂膜が剥がれ落ちるだけでなく、上皮にも細かい小さな傷ができるため稗粒腫が出来やすくなります。 ・軟線維腫 これはただ単なる 正常皮膚の増生によって形成されたものです。 良性の皮膚腫瘍ですね。 首や腋窩 わきのした 、鼠径部など、 摩擦がかかる部位に出来やすいです。 これが肛門周囲に出来ているということは、それだけ何か摩擦がかかっているということでもあり、やはり洗いすぎたり、こすって拭いていたり、拭く回数が多かったり、お風呂でゴシゴシこすって洗っていたり、何らかの 過剰衛生があることが多いです。 ・皮膚癌 まれに肛門周囲に皮膚癌が発生することがあります。 私が経験した症例は全例、 難治性の湿疹だと思われていました。 肛門がかゆいから、かかりつけの内科で薬をもらっていた患者さん かゆくて掻いているうちに皮膚が盛り上がってきたと言った患者さん ずっと長年、おしもの部分を消毒してきた患者さん いぼ痔だと思って高価な通販の痔の薬を長年使い続けていた患者さん 色々なケースがありますが、ある日突然、急に癌は出来ません。 何らかの皮膚症状、皮膚トラブルがあります。 見せるのが恥ずかしい・・・では済まされないこともありますので、癌ではないことを確かめるためだけでも肛門科を受診して下さいね。 肛門科を受診することが恥ずかしいのであれば、 皮膚癌の心配に関しては皮膚科受診されてもいいでしょう。 8.直腸がん、肛門がん 「痔だと思っていたら『がん』だった」というお話を一度は聞いたことがあるでしょう。 直腸は大腸の末端の肛門のすぐ奥の部分で、ここにできたがんが 直腸がんです。 直腸がんは進行すると肛門の外からでも触ることができる状態まで大きくなるのです。 そして、あまり馴染みはないかも知れませんが、肛門にもがんはできます。 肛門がんです。 直腸がん・ 肛門がんは、触ると硬いのが特徴です。 いぼ痔(痔核)はプニプニと柔らかいので、手触りがちがうのです。 とは言っても、血栓性外痔核はコリコリと硬いのでやっぱり一般の方には見分けるのは難しいのです。 肛門に異物を触れたら肛門科の専門医に受診するのが一番良いのですが、がんか痔かを見分けることだけなら、外科でも可能です。 むしろ 「がん」については肛門科よりも外科の方が専門なので詳しいです。 とにかく自己診断、決めつけは危険です。 一度は受診して悪いモノではないことを確かめて下さいね。 痔ではないのに手術を勧められることもある?! 痔ではない正常な肛門なのに手術を勧められているケースが結構多いです。 受診した肛門科で「痔瘻」と言われ手術をすすめられていた患者さんがセカンドオピニオンで当院に来られ、診察したら痔瘻なんて存在しないどころか、何もないとてもキレイな正常肛門だったということを日常的にたくさん経験しています。 だから肛門科だけはちゃんと専門にかかって欲しい。 また痔瘻に対してジオン注射(ALTA療法)をすすめられているケースもありましたが 注射療法(ジオン注射)は痔瘻に適応はありません。 これは「いぼ痔(内痔核)」の治療方法です。 痔瘻でジオン注射で治しましょうって言うのもおかしな話です このような話、冗談ではなく結構たくさんありまして・・・ だから患者さんが痔だと言っても、他の病院で手術と言われていても、私たちは鵜呑みにせず診察するようにしています。 家に帰ってから家族に相談してからでも遅くないですし、他の先生の意見を聞く余裕くらいあります。 どうか必要のない手術を受けることのないよう気を付けて下さいね。 そんな目にあわないためにも肛門を専門にしている先生にかかってほしいと思います。 本当に多いんです 必要の無い手術を勧められているケースが 何もない正常な肛門なのに痔と診断されているケースもたくさんあるんです 肛門科は専門にかかってくださいね 当院は 自由診療なので、色々なクリニックや病院を回ってから最後に来られることが多いのですが、 専門外の先生にかかっている患者さんが多いです。 専門外の先生は肛門に詳しくないので、正確な診断が出来ていなかったり、手術の必要がないものなのに手術を勧めていたり、私たち専門医と随分、診断・治療が違うことが多いです。 皮垂や 見張りイボを 脱肛と診断されて手術宣告を受けている患者さんが本当に多いです。 だから肛門科は専門の先生にかかってください。 きっと違うはずです。 あなたの近くにもきっといるはずです。 探してみて下さい。 その時に以下の記事を参考にしてみてください。 全国にある肛門専門施設について実名で書きました。
次のSponsored Links ネットでお尻の穴(肛門)がかゆいことでお悩みの人の声 肛門がかゆいんです・・・これなんでしょう? なんにもしていない時でも肛門がかゆくてよくかいています。 夜寝るときでもしばらくかいているときもあります。 中に指を入れたりとかではなく、肛門のまわりというか穴のまわりというか・・・。 たまに大便をすませトイレットペーパーで拭くと血が付いていることもあるのですが、 何か関係がありますか? 病気とかは思っていませんが、直す方法(薬)があればぜひ教えてください。 たまに、肛門が濡れている(湿っている)ときもあります・・・ これってなんでしょうか? ご回答よろしくお願いします。 回答 かゆみがしばらく続くとのことで、気になりますね。 ご質問の症状ですが、痔の症状に似ていると思いました。 排便時に少量出血があるとのことなので、切れ痔が治りかけでかゆみがあるのかもしれません。 また肛門が湿っているということなので、痔ろうで膿が出ている可能性も考えられます。 私なら、 患部を清潔に保ち、通気性の良い下着をつけてしばらく様子を見ます。 それでも症状が治まらない場合は、肛門科を受診します。 最後に お尻の穴(肛門)がかゆい原因は6つの要因が考えられることが分かりましたね。 早く治すためには 清潔を保つ 食生活に気を付ける 通気性の良い下着を身に着ける 以上のことが大切です。
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